金枝篇とか

そろそろ月一くらいで更新します。 昔よんだ、誰もよまなそうな本の書評とか。

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『森の王』について - 初版金枝篇まとめ③

承前

金枝篇を読む前に知っておくといいかもしれないキリスト教の知識
含みを持たされた部分を考えてみる - 初版金枝篇まとめ①
ネミの森の風習について - 初版金枝篇まとめ②


 初版金枝篇では、第一章の最初にネミの森の風習について記述した後、『森の王』という言葉の説明をしながら「蛮人」のものの考え方と、アーリア民族の樹木崇拝を講釈しています。

 最初に「王」について。森の王はネミの森の祭司のことなんだけれども、なんで「祭司」が「王」と言われるのか。もともと王様が宗教のトップを兼任している事例も多いけれども、なぜか、フレイザー流の説明をしています。
 まず、「蛮人」は、人間は誰でも超自然の力を持っていると普通に思っている。たとえば何かを水に浸すような雨乞いの儀式をすれば雨を呼ぶ、と思っていた。その中でも力を持つもの、王は、特に強力な超自然の力を持っていると考えられたそうです。この超自然の力は、人格を持った神のような者に訴えることで超自然の力を発揮することもあれば、共感呪術(似たものは同じような力を及ぼす、だとか、体の一部だとか以前くっついてたものは離れても影響しあう、だとか)による、原因と結果に帰されるようなものもあるけど、とにかく蛮人も王も超自然の力を持っていると考えた。でもって、人間が誰でも超自然の力を持っていると考えられている世界では、人間と(超自然の力を持った)神様の区別はあいまい、あるいは区別がないそうです。だから、王は超自然の力を持った祭司であり、神でもあった。
 人間と神様が同一である場合にも2種類あって、神様が一時的に人間に憑依している場合と、永続的な場合(人間そのものが神様の場合)があったようです。この、人間が永続的に神様の場合、天災、例えば旱魃などの責任は、天候をコントロールできるはずの人間の責任であり、この人物が責任を取らされて、脅されたり、罰を受けたり、殺されたりする事例が数多くあるそうです。
 このように、「王」という者は、超自然の力を持った、世界と密接に連動した祭司であり神の化身と考えていたそうです。

 次に、では『森の王』の「森」は何なのか。フレイザーはこれを「アーリア民族の樹木崇拝」と結びつけています。古代ヨーロッパは現代と比べ森林に覆われていで、アーリア系のヨーロッパ人は樹木崇拝を行っていた、樹木も魂を持つものとして扱っていたそうです。この樹木崇拝はアーリア人共通の信仰、だそうです。
 その後フレイザーは、近現代ヨーロッパで実際に樹木崇拝が行われている例を挙げています。メイポール・五月祭・収穫の五月・セブン オークス など、樹木崇拝に起因する風習は今もヨーロッパ農民の間に数多く残っているそうです。風習から、樹木霊には共通の力が見て取れます。雨を降らせる力 、陽光をもたらす力、鳥獣の群れを増やす力、女性の安産を促す力などがあるそうです。
 そのほかにも、夏至・精霊降臨節・収穫祭で木に水をかける(雨乞いの呪術を行っている)だとか、植物霊が春によみがえるだとか、樹木霊・植物霊が木の姿と人間と、二つの姿で表される、だとか、その霊は木に命を吹き込み、小さな植物の中でそれらを活性化する、木は燃やす、だとか、樹木霊や風習には共通の特徴があるそうです。常にすべての特徴を備えているわけではなくて、例えば木の姿の表象がなくて生きた人間による表象のみ残る場合などもあるようですが。
 続いてフレーザーは古代のギリシャ・ローマ人の風習を述べ、も近現代ヨーロッパ人と類似した樹木崇拝を行っていただろうと提示しています。ギリシャ。ローマにある、木をご神体として花嫁花婿として結婚させて豊作を祈って、終わった後に木を燃やす、ような事例を提示し、ヨーロッパの春の祭り、夏の祭りの類似性を指摘しています。
 そしてこれら近現代ヨーロッパや古代ギリシャ・ローマの樹木崇拝は、アリキアの司祭職・ネミの森の王との共通点を提示しています。木立が聖所であり、森の神シルウァヌスと結び付けられる、ディアナは樹木霊のように陣痛に苦しむ女性を助け、野生動物の保護者であり、家畜を守り、泉・炎は雨を降らし太陽を輝かせる力と考えられます。また、樹木霊はしばしば生きている人間と樹木の両方で表されており、アリキアでは、王が人間が化身で司祭、金枝が特殊な姿で現れた木立の神の命だと考えられます。
 これらのことから、女神ディアナの属性は樹木霊・森の神の属性 であり、アリキアは樹木霊・森の神崇拝である、『森の王』とは樹木霊の化身のようです。
第一章はここまで。

つづく
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